2014年01月20日

来週、ダットスキャン®静注が発売されます。黒質線条体ドパミントランスポーターの分布を反映した画像が得られる薬剤であり、パーキンソン症候群レビー小体型認知症(DLB)の診断に役立つことが期待されます。

 ただし国内第III相試験(NMA78P3-2)においてAD・健康成人を「not DLB」、幻視とパーキンソン症状を伴うprobable DLBを「DLB」として臨床診断と画像読影結果の一致度を調査したところ感度70.0%(95%CI 41.6-98.4)、特異度90.9%(95%CI 73.9-100.0)であり、感度については事前に規定した閾値(50%)に対する有意差を示されなかったことから、PMDAは「本剤は、DLBの診断に関して事前の想定どおりの有効性を有していない可能性がある」と判断しています。ゆえに「これまでの診断方法よりも決定的に優れている診断技術であるというわけではなく、確定診断の精度を高める新たな追加情報であるということを過不足なく臨床現場に情報提供する必要がある」と警告しています。

 DLBの国際臨床診断基準(CDLBガイドライン)ではダットスキャンは他の画像診断群よりも一つ格上の診断項目に位置付けられています。しかしPMDAは「CDLBガイドライン(Neurology. 65: 1863-72, 2005)における記載内容のみを以て本剤の臨床的位置付けを説明することは困難」と述べています。もし仮にメーカーさんがCDLBガイドラインのことだけを資料に出して製品紹介してきた場合は自社有利情報だけ出して不利情報を隠している可能性があるのでご用心下さい。

 価格はシリンジ1本 56,162円(検査1回分)。

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