2013年12月20日

昨日、故意なのか誤認なのか分かりませんが一部製薬会社の方が「小田は抗認知症薬の中でドネペジルを推奨している」と触れまわっている、という噂を聞いたので、この場をお借りして噂を否定したいと思います。
 私自身の認知症薬物療法に対する考え方は勤務先の兵庫県立姫路循環器病センターのホームページでずっと前から表明しています。

http://www.hbhc.jp/department/koureisha/about.html

認知症薬物療法」(PDF)をクリックして下さい。

 要点をまとめますと「ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンは同種の効き方」「メマンチンは異なる効き方」「併用すれば人によっては効くが海外では2剤併用が必ずしも有効ではない報告あり」です。
 ドネペジルは国内治験で唯一CIBICという全般臨床症状評価を採用しなかった治療薬です。その理由は申請書によりますと「CIBIC plusは担当医以外の臨床医が、投与前後の患者との面接結果に基づいて判定を行うものであり、我が国の治験環境を考慮すると担当医師以外の臨床医を置くことは難しく」とあります(写真参照)。他の治験は全部担当医以外の臨床医をおいてCIBICをやっており、まさにそのCIBICで評価した全般臨床症状で有意改善を証明することに失敗しています。なぜドネペジルだけCIBICを免れたのか、合理的説明を受けたことは私はありません。CIBICの代用として「全般臨床症状評価」という担当医の印象を反映できる尺度が導入されています。言い換えますと担当医の予断が入りやすく設計された評価尺度です。なぜわざわざ予断が入りやすい尺度にしたのかという合理的説明も私は受けたことはありません。
 そういう事情で私自身は特定の抗認知症薬を推奨しているわけではなく、そもそも全例に抗認知症薬を投与すべきとの考えを持っていないのですが、上記のような噂が流れた原因は私自身の普段の態度振る舞いに問題があるからで、私自身の不徳のなせる業と反省しておりますので、この場をお借りしてお詫びしたいと思います。

 

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